輸入の原点
始まりは突然に
"食"に興味を持ち始めた学生時代から始まり、渡仏、そしてソムリエールとしての現場やホテル内でのワイン販売も経験してきたある日の事、突然、自分の中のもう一人の私が言い出したのです。
「こういう1本数万円以上もする高級ワインじゃなくて誰もが家で気軽に楽しめる1,000円、2,000円のワインを取扱っていくべきよ!」ワインビジネスに携わり10年目を迎えようとしていたある日の事でした。
今思えば、これが私の転機の始まりでした。
試飲の厚い壁
さて、1,000円、2,000円のワイン輸入販売に転向するも、最初から厚い壁が待ち受けていました。
人間の舌とは恐ろしいもので、昨日まで数万円もするようなワインを試飲していた者が翌日から1,000円クラスのワインを試飲して納得(?!)出来るワインを見つけよう等とそう簡単には出来ないものなのです。
そう、例えば、特上ずしを毎日食べている人が、急に翌日から1皿100円のすしを食べて満足できるのか?!と問いかけるのと似ているかもしれません。
でもこれも元はと言えば、自分の中のもう一人の私が言い出した事。
それからと言うもの、まず、向こう1年間のグランヴァン試飲禁止令を心に誓い、1,000円クラスワインの試飲トレーニングに励む毎日が続きました。
オーガニックワインとの出逢い
数カ月が経ったある日の事、海外から1本のサンプルを手にしました。
これがオーガニックワインとの初めての出会いだったのですが、何も考えず、いつものように抜栓し、グラスに注いで、まずは香りから…あれ!?『何かヤボったい香りが…』味わいは…ん?『インパクトないよねぇ』が、実は第一印象でした。
当時、私はいつも朝の10:00過ぎと17:00頃に試飲をしていました。
ちょうどこの日も17:00頃に再び試飲したところ、朝の第一印象と180度違う香りと味わいにびっくりしてしまったのです。
香りが華やぎ、生き生きと広がっていくではありませんか。
オーガニックワインの素晴らしさ
抜栓から7時間も経ってるというのに、まだまだ変化の途中段階のような力強さまで感じられました。
味わいも果実の甘みが出ていて、舌の上でふわ~っと広がっていくのが分かりました。
それまで試飲していた同クラスのワインというのは、大抵、朝空けて、夕方再び試飲しようものなら、もう香りが抜けていて酸っぱくなっているので、料理用に使用するようなワインに変化しているのが常だったのです。
しかし、その時、試飲したワインの変化はある種、グランヴァンを抜栓した後のワインの状態の変化にも似た動きのようなものを感じたのです。(もちろん、味は、数万円もするようなワインに似てはいませんでしたが。)
オーガニックワインの素晴らしさ、そして、その昔、ワインの勉強を始めた頃、大先輩に、「ワインとは時間と共に香りも味も変化していくもの。
その変化を常に感じとっていかなければならないよ」と教わった事をふと思い出しました。
このワインのラベルに"VIN ISSU DE RAISINS DE L'AGRIC ULTURE BIOLOGIQUE(オーガニック農法のブドウから出来たワイン)"と書かれた説明を見て「どういう事??ワインって自然の恵みじゃなかったの??今までのワインって農薬ワインだったの??」という疑問から始まって、「そういえば、一昔前のワインのスタイルと最近のワインのスタイルってどことなく違ってきてるわよねぇ…」と頭の中にクエスチョンマークが湧き出てくるのです。
実はこの疑問が、今日に続くオーガニックワインとの長いおつき合いの始まりだったのです。
オーガニックワインを学ぶ日々
分からない問題にぶつかると本屋と図書館に走る私は、いつものように、直行。
ところが、無農薬・有機栽培のお野菜やお米の書籍はあっても、ワインの本がどこにも見当たりません。
そこで、フランスとアメリカからオーガニックワインの本を入手して訳す事1年。
しかし、農学的な分野や医学的な分野等、専門的な部分になると直訳しても意味が全く分かりません。
そして、各分野のエキスパートの方々を訪ねて勉強する傍ら、オーガニック食品協会等が行うセミナーへの積極的な参加やオーガニック関連の情報収集等費やす事1年。
ようやく、オーガニックワインとは何たるかを少しは理解できたものの、オーガニックワインだけを輸入して販売に力を入れる事に対して、実際のところ採算がとれるのか?!という周りの適確で鋭いアドバイスの中、私は、結局自らが輸入して、自らが販売していく道を選びました。
トゥージィ設立
我が道を行くとしか見えなかったかもしれませんが、決して間違った道を選んでいないと確信していました。
本当のワイン、本当に美味しくて、体にも良くておまけに環境にやさしいワインをみなさんに紹介するのがプロとして当たり前の事ではないでしょうか。
1998年、オーガニックワインスペシャリストインポーター、トゥージィ有限会社を設立。
オーガニックワインは、殺菌剤、殺虫剤、化学肥料を一切使われずに栽培されています。
また、香料や着色料なども使用されていません。
一般にオーガニックワインはコンベンショナルワイン(非オーガニックワイン)に比べて自然に近い、ナチュラルな味わいです。
「ワインが好き!」、「ワインのある生活を提案していきたい!」とこの道を突き進んで参りましたが、オーガニックワインの素晴らしさ、美味しさをトゥージィとしてもっともっと伝えていきたいと思っております。
創設者 辻井 繁代